青空が広がり、コスモスが秋風に揺られる、2025年9月28日。
今日は月潟大道芸フェスティバルの開催日。そして「走れ!かぼちゃ電車2025」の開催日。
早朝から、スタッフは清掃や準備作業に追われる。
線路際には、往時の駅名標や、県庁前(白山前)駅の外壁にあった「車電」の文字などの懐かしい品々が並ぶ。
今日は、ここが電車走行の舞台となる。
ミーティングの後、駅に隣接している地蔵尊で安全祈願のお参りをする。
車両の準備を行っていく。
今日の陰の主役である車両移動機アントはガソリンエンジンで走行し、アントに搭載している空気圧縮機もガソリンで稼働する。
「電車」だが、頭上の架線には走行に必要な電力が供給されていないからだ。
駅舎前はすでに、きっぷを求める人々の長い列ができていた。
お話を伺うと、このイベントのために関西や山陽地区からお越しの方も。ありがたい限りである。
駅舎内、ホームも大勢の人が電車の乗車を心待ちにしている。
電車に乗るには、きっぷの購入が必要である。
ピッ!とICカードをタッチすれば電車やバスに乗車できる令和の時代、月潟駅の窓口で硬券(厚紙のきっぷ)を買い求めるのも「あの日」以来であろうか。
窓口が非常に混雑しており、硬券を1枚10秒程度の速さで売り捌いても、発券作業が間に合わない。
そのため、きっぷの立ち売りも最混雑時に実施した。
車掌さんが車内でパチパチと鋏を鳴らして売っていたものと同じ形態の、補充券での販売である。
「これ懐かしいー!」という声が、時折聞こえてくる。
運転士、車掌も準備オーライ。
さぁ、電車に乗ろう。
乗車口できっぷに鋏を入れる。パチン、と懐かしい音。
盛況御礼、車内は時間帯により現役当時のラッシュアワーのよう。
さぁ、今年も「おそらく世界一短い鉄道旅」が始まる。
出発進行!
残されたわずか50m余りのレール。ゆっくりと走り抜けていく。
もっと遠くへ、もっと長い距離を走りたいが、残っているレールはここまで。
月潟駅へ向けて折り返しとなる。
「あの日」を思い出す小さな旅路も、5分足らずで幕引きとなる。
「おそらく世界一短い鉄道旅」なのだから。
来場者にお話を聞くと、「数十年ぶりに走る電車に乗れた」と、当時の思い出を語られる方が多かった。
亡き父に乗せてもらったという人。
毎日通学で乗った人。
ラストランに乗れなかった人。
半世紀ぶりに沿線地域に帰ってきて偶々このイベントに来られた人。
あの時の様々な思い出の続きを乗せて、今こうして電車は走っているのだ。
線路際で開店していた、かぼちゃ電車の塗り絵コーナーやかぼ電グッズ販売所。
今日の思い出を、いつまでもお手元に。
夢のような時間は、あっという間に過ぎていく。
イベント終了後、車両を定位置に戻す。
白山前~東関屋間の廃線時に撮影された写真。そして33年後、月潟で電車を動かした運転士たち。
バトンを受け取る側のモチーフとしてヘッドマークに描かれた、当時最新鋭のバス“いすゞ・キュービック”は、このイベント開催の直前に下越エリアから全車引退した。
しかし、月潟のかぼちゃ電車は一層輝きを増し、健在である。
「あの時の思い出のつづき」、月潟にありますよ。
今回の総来場者数2500名余り、きっぷ発売数およそ1000枚。そして今回も無事故で完遂。
大変多くの方々からお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
また次回も、月潟でお会いしましょう。合言葉は「走れ!かぼちゃ電車」
Photo by Y. Ikarashi K. Kitano T. Kitano N. Nagai
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